思考力を高めるステップアップコーチ9

 思考力を高めるステップアップコーチ9 


  未知の問題、不良定義の問題をイノベーティブに考える方法を学ぶために大学院に

  行きました。しかし、シニア世代の私が、2013年からシステムアプローチを学び

  始めたのですが、思考が動かず大変苦労しました。所属企業で30年間もかけて

  蓄積してきた思考は、思えば先輩たちが構築してきた解決策を当たり前のように

  引き継ぎ、そのまま丸呑みしてきたのかもしれません。


  ここ10年間、どう成長したかをうまく説明できない私は、いつもピカピカの

  修士一年生当時(2013年)から、現在状況の2点を無理やり比較しては、

  考え方や世界観の違いの中に、私の成長があったのではないかと考えることに

   しています。


 (1)自分がそもそも問題をどう解決してきたのか?

  思えばNEC時代に5つの難題プロジェクトに出会ってきました。悪戦苦闘してもがいて

  はまっていくことも多かったです。自分がどう問題を定義しているか、うまく説明でき

  ませんでした。今でもうまくは言えません。しかし大学院の門を叩いてから、五輪書の

  ようなものを学び続けたおかげで、思考スタンスは変わっています。何のために問題を

  解こうとしているのか、目的を言語化する習慣がつきました。パワーポイントで資料を

  書きまくる前に、自分はどのようにして、その問題を解決しようとしているのかを

   問います。 適切な扱い方とは、効果的なアプローチに思いを馳せる習慣が生まれている

  ように思います。

  ・無意識下で考えていることを意識の上に引き出して叩く

  ・意識してやってきた事実を帰納化して、どこかで使えるように無意識下に刻む


 (2)メンタルモデルの壁

  新しい思考の枠組みを考えているときに、以前から持っている思考の枠組みが

  どうも邪魔をするようです。楽観的に解空間を探索しましょうと言われても、戦略的

  な探索経験の無い私には、無駄に思えて気がのりませんでした。失敗することの

  面白さやゆらぎを忘れていたのでしょう。極めつけは、そもそも物理空間に生きてきた

  人間が抽象の空間を活用することの意味すら知らなかったのですから・・。

  授業についていけない私は、そもそもエンジニアリングとは離れた「考える」ことに

  関する200冊以上の書籍を読み漁るようになりました。


 (3)脳の動きを変えるトレーニングマシン

  原因結果、目的手段のような順推論は脳は得意のようですが、結果原因、手段目的の

  ような逆の推論は脳は苦手であると書籍に書かれていました。そもそも、そういう鍛

  え方を私はしていなかったのです。目的に向かって発散、収束、複数要素の帰納化的な

  収束訓練もしていませんでした。システムデザイン思考やシステムアプローチでは、

  頻繁にこれらの思考が連続的、重層的に要求されるトレーニングマシンのようです。

 

 (4)不良定義問題

  問題や答えが定義しずらい問題や答えが1つに決まらない多峰性の問題が増えています。

  自分自身が問題に向かう姿勢から変えていく必要があります。イノベーティブな課題設定

  には必ず付きまとっているように思います。当時、問題と答えは、本屋に行けば解答集

  として学術書の棚にあるものと期待していた私でした。問題が定義できなければ、書い

  て貼るようにしています。


 (5)思考の型

  縁あって学んできたシステムアプローチ手法は、エンジニアだけの方法論ではなく、

  すべての人にとって開かれた思考のOS、型として捉えています。

  型は習得して、活用して初めて効果があります。

  DX時代の企業人の思考を変える効果的な手段と信じています。

  そもそも知識は簡単には伝搬しませんので、主体的に実践的に獲得する必要がありま

  す。従来の企業の階層別研修に見られる、「すばやくわかる〇〇思考講座」のような

  ものを期待すると肩透かしを受けますが、、。

  




  DXばやりの時代にあって、新しい目的を定義して、目的を達成するアーキテクチャー

  を考えていくことは、企業人の思考を変える効果的な手段と信じています。


  新入社員や中途採用の有能な社員を迎えたとしても、「会社全体の思考風土が既知問題

  を扱う思考やそれを前提に個別最適する思考が無意識的に主流となり、ロールモデル化

  している」としたら、何も変化が起こらない可能性があります。

  ミドルのリスキリングも叫ばれていますが、未知の問題を発見して、課題を設定する

  能力が弱いのに、新技術習得のリスキリングだけに注力しても、新しい目的を創造

  できるのでしょうか?

  

  今こそ、次世代型人材育成のためには、システムアプローチを活かして、初めから

  未知問題を解決するために、思考のOSを変えていくアプローチが必要だと思います。


                             2024.2.9







  参考サイト

  慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科

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