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文献紹介:モデルベースシステムズエンジニアリング導入の手引き

    ☞  モデルベースシステムズエンジニアリング導入の手引き    出典:IPA独立行政法人 情報処理推進機構    執筆:慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 西村秀和教授       株式会社会社 コギとマキナ代表取締役 鈴木尚志氏         DX時代、I Tエンジニアが花形の現代ですが、ITシステム開発やソフトウエア     開発現場は、決して楽観できる状態では無いように思います。本資料を読み返す     のはこれで10回目ですが、自分が未だ実践できていないことを反省する毎日です。     最前線でご多忙な管理者の皆様にも、お手隙の時間に本資料を閲覧いただき     その有用性について、お考えいただくきっかけになればと存じます。     本文35頁              モデルの実行や、ツールにあるシュミレーション機能は、開発の上流工程の      作業において、要求の妥当性確認や、それに対応する設計の検証を、開発の      実機テスト工程まで待たずに、モデルで確認可能とするものです。     これによって、手戻りを激減させ、大幅な開発コスト削減も可能になるのです。     本文41頁     MBSEのプロセスは、効率的なシステム開発を支援することを目的とし、     モデルを利用して、要求をまとめ、それを実現するアーキテクチャを設計します。       本文44     図22に示される通り、MBSEはソフトウエアエンジニアリングのみならず、     ハードウエアエンジニアやテスターに対しても大きな一助になったという評価が       得られています。                本文47            MBSEを適用し、これまでの文書ベースによるシステムズエンジニアリングの     効率について測定し、コスト評価を行いました。その結果、コスト効果という     側面に加えて、設計情報をほぼ完全に記述可能で、必要な情報を容易に抽出可能    という理由から・・投資効率が高い(投資指標0.85-->1.15)ことがわかりました          ※関連文献     上流品質技術強化 MBSE 導入の手引き     モデルベースシステムズエンジニアリングプロセス (V2 Professor Ⓡ)で    進める

思考力を高めるステップアップコーチ9

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  思考力を高めるステップアップコーチ9    未知の問題、不良定義の問題をイノベーティブに考える方法を学ぶために大学院に   行きました。しかし、シニア世代の私が、2013年からシステムアプローチを学び   始めたのですが、思考が動かず大変苦労しました。所属企業で30年間もかけて   蓄積してきた思考は、思えば先輩たちが構築してきた解決策を当たり前のように   引き継ぎ、そのまま丸呑みしてきたのかもしれません。   ここ10年間、どう成長したかをうまく説明できない私は、いつもピカピカの   修士一年生当時(2013年)から、現在状況の2点を無理やり比較しては、   考え方や世界観の違いの中に、私の成長があったのではないかと考えることに    しています。  (1)自分がそもそも問題をどう解決してきたのか?   思えばNEC時代に5つの難題プロジェクトに出会ってきました。悪戦苦闘してもがいて   はまっていくことも多かったです。自分がどう問題を定義しているか、うまく説明でき   ませんでした。今でもうまくは言えません。しかし大学院の門を叩いてから、五輪書の   ようなものを学び続けたおかげで、思考スタンスは変わっています。何のために問題を   解こうとしているのか、目的を言語化する習慣がつきました。パワーポイントで資料を   書きまくる前に、自分はどのようにして、その問題を解決しようとしているのかを    問います。 適切な扱い方とは、効果的なアプローチに思いを馳せる習慣が生まれている   ように思います。   ・無意識下で考えていることを意識の上に引き出して叩く   ・意識してやってきた事実を帰納化して、どこかで使えるように無意識下に刻む  (2)メンタルモデルの壁   新しい思考の枠組みを考えているときに、以前から持っている思考の枠組みが   どうも邪魔をするようです。楽観的に解空間を探索しましょうと言われても、戦略的   な探索経験の無い私には、無駄に思えて気がのりませんでした。失敗することの   面白さやゆらぎを忘れていたのでしょう。極めつけは、そもそも物理空間に生きてきた   人間が抽象の空間を活用することの意味すら知らなかったのですから・・。   授業についていけない私は、そもそもエンジニアリングとは離れた「考える」ことに   関する200冊以上の書籍を

思考力を高めるステップアップコーチ8

 思考力を高めるステップアップコーチ8  出典: もはや「インプットでは差がつかない時代」なのに…残念なビジネスマンが     ハマる「網羅思考のワナ」      https://gendai.media/articles/-/112273?imp=0   内田 和成氏の論考では、 網羅思考のワナに、ハマらないために、   何をしたらいいと言っているのでしょうか?      「 本当に優れたリーダーとは「限られた情報で決断を下す能力」を磨いています。   調べすぎて「too late」にならないためにも、、、、      従来の常識である「インプット→アウトプット」というプロセスを、  「アウトプット→インプット」に逆転させる必要があるとしています。     ここでいうアウトプットとは、単なるレポート、成果物だけではありません。   それは一部である。大切なのは、求められている「仕事の目的」です。   それを深く考え明確にした上で、 限られた情報の中で、「仕事の目的」に見合った  「成果物(手段)」を考え出すこと、まさに「考える」プロセスがアウトプットの   質を決めるとしていています。「 アウトプット思考」の大切さを解いています。   私が、慶應SDMで学んだシステムアプローチは、まさにゴール(運用ステージ)   で達成すべき状態からデザインすることを指導しています。その仮説的なゴール   状態を要求定義として抽出する手法や、その具体策を考えるという手法を使いながら   アウトプットから考える思考を学びました。   学びはじめた当初、ゴールイメージとはそもそも抽象度が高い対象にも関わらず、   抽象も具体も区別がつなかい「具体の思考の世界」に住んでいた私は大変苦労   しました。「考える」プロセスそのものがわからない、集めた情報では足らない   中で、「わからない」ことを明確にして、知り得ている既知の知識を帰納化したり   演繹化したり、アイデアをずらしてみては俯瞰してみたり、近傍の解を探してみたり   するという、しぶとさを方法論を使う中で感覚的身につけてきました。道半ばです   が、システムアプローチのメタ方法論の凄さは実感しています。   アウトプット思考   ゴールから発想する      完全にできるわけではありませんが、思考の型として習慣化され

マシュマロチャレンジを甘く見ないでください 思考力を高めるステップアップコーチ7 

 マシュマロチャレンジを甘く見ないでください  思考力を高めるステップアップコーチ7 マシュマロチャレンジを甘く見てはいけない、先が読めないおじさんになってしまう可能性があります。2013年当時57才のおじさんがマシュマロチャレンジの洗礼を受けてショックを受けました。TEDビデオを見てさらに打ちのめされました。 10年が経ちますが、自身としてあまり進歩していないことに焦りを感じます。 一般に、活動の初期段階で何を学べるかは大きいです。 マインドセットを付けましょうという啓蒙で終わる話でもありません。 本件に、具体策が存在することをご存知でしょうか。 (少し抽象度が高い方法ですが、破壊的です。素人の駄文ですが何かのヒントになれば幸いです) マシュマロチャレンジは完成形(why、what)がかなり予想できる中で、具体的構築を試行錯誤的にHowをトライします。 システムズエンジニアリングではシステム開発の初期段階で、企画ステージを検討します。情報がほとんどない企画ステージの段階でVモデル設計を何度も回すには、持ち得る知識に加えて、集中力、想像力、洞察力、シュミレーション力、課題設定力、アーキテクチャー力が総合的に試されるように思います。その重要性、時代的な意義を強く実感するようになりました。 システムの最終運用段階とシステム構築段階とシステム設計段階は、時間軸から見てもそもそも時間的にも空間的にも異なる事象です。未完成の時に、これらの最終形を俯瞰しながら、一体の設計空間としてイメージして考える習慣ができるとそれは凄いことになります。要求の連鎖としても一体のものと見て、全体最適のデザインをして、具体世界(検証)と抽象世界(モデルデザイン、思考)を同時に行きつ戻りつスパイラル実行します。こういう思考を競合にされたら、ひとたまりもありません。先読み、差異化、5-10年先戦略、、を隠れて打ってこられては、ひとたまりもありません。 私は、空手をしていましたが、基礎訓練はやっている時に、意義をあまり感じませんでした。ある程度の段階になり、無意識に技が出るようにになると、一気に視界が開けてきました。別世界がそこにありました。 システムズエンジニアリングを学習し始めた当時は、なぜ学ぶのか? 効果はどうなのか? が全くわからず苦戦しました。全くイメージが湧きませんでしたが、最近いろいろな検

「システムとしてデザインするイノベーティブな人材」をどうしたら体系的に育成できるのか? 

私は、旭化成元フェローの山下昌哉氏の素晴らしい業績(※1 恩賜賞 電子コンパス開発)に出会い、それを学ぶにつれて、イノベーションアーキテクトしてふさわしい方だと思っています。現在、自社の中でイノベーションアーキテクト研究会※2(山下昌哉氏、橋本治氏、八田孝)を運営する中で、多くの教えをいただいています。 山下さんはイノベーション思考の普及努力を続けています。しかし「イノベーターの知を伝搬」しようとしても難しい現実があります。関心を示していただいても仕事が繋がらなかったり色々です。日本認知科学界会元会長 鈴木宏昭氏は、「知識は伝わらない」ものだ、「知識とは構築される」ものであると主張しています。それは、「人の認知リソースと場のリソースの相互作用や創発によって生まれるコト的なもの※3」であると表明されています。 「イノベーションアーキテクト研究会は、旭化成元フェロー山下昌哉氏からイノベーションの知見を開示いただき、元NEC研究所橋本治氏からはIT・AI的なアドバイスをいただき、八田孝が運営しています。活動目的としては、(1)未知の課題を解決する知を構築する、(2)イノベータの知を構築する、(3)イントラププレナーの知を構築する等を目指しています。アプローチ手法として、システムデザイン手法、システムズエンジニアリング手法を活かして、「システムとしてデザインするイノベーティブな人材」をどうしたら体系的に育成して、ビジネスで実践できるのかを研究しています。 単に知識を知っているだけでは意味がなく、トレーニングや体験によって、各人の頭や体にインストールされて、やがては局面局面で意識的&無意識的に駆動されるような実践的な知(コンピテンシー、ケーパビリティ)を作らなければ、意味がないと話をしています。活動する人が、本当にそれをしたいのかも継続性にかかわってきます。 本研究の整理において参考にさせていただいているのが、経済産業省の「未来の教室」実証事業の1つである「顧客の「横断的体験」を生み出せる「システムデザイン人材」を育成する講座の開発※4」です。組織として達成したい高いケーパビリティ(スキル習熟度レベル)を獲得するために、4つのスキル標準フレームワークを習熟していくアプローチを展開しています。スキル標準フレームワークはさらにスキルカードに展開されており、そのカード単位にハードス

「考えるチームを育成する研究」 V1.0一部

 「考えるチームを育成する研究」 V1.0一部   ※留意事項・連絡先 現在、企業向け研修や共同研究を実施中。 ご関心がございましたらご連絡ください。 チーム・シンセシス・ラボ株式会社 代表取締役 八田孝 hattat@team-synthesis.com https://home.team-synthesis.com タイトル 「考えるチームを育成する研究」V1.0 「考えるチームを育成する研修開発と普及」V1.0 〜考える力を高める自分成長の道具と使い方を開発する〜 背景 私は「わからない」問題にぶつかると思考停止になってすぐ撤退をしていました。本屋に飛び込んで、これぞという本を見つけては、本当の自分に嘘をついていることにも気づかず安堵していました。答えがそこに無いことがひたすら不安でした。 どうすれば、人は「わからない」状態から「わかる」状態に移行することができるのでしょうか? AIが既存知の範囲内であれば、与えられた「問い」に対して世界中の知識と機械学習を使って、それなりの論理を生み出してくれる時代になりました。検証は必要ではありますが。 私達は積極的に「問い」を創り、課題・目的を生成して、自らアイデアを探索しつつもAIにも探索してもらい、適切な問題解決を生み出す能力が一層必要になっています。21世紀型の戦略的学習能力をどう獲得したらいいか課題です? 目的 ものごとを「考える力」「課題を解決する力」「課題をデザインする力」は、その人が「よりよく考える習慣」を獲得することによって段階的に成長して、熟達していくものと考えます。そこで、「多様な専門チーム」の中で「考える力を高める自己成長の道具と使い方」を開発実践していきます。これは次世代につながる社会的課題と考えます。 当面は、抽象度の高い思考を徐々にBaby stepを繰り返して、思考態度が変わっていった体験をベースにして、レベル1〜3をターゲットに進めます。 解決策 基本的な考え方 「知る、使う、検証する、実践する」というサイクルを回す 思考において、専門知、方法論、認知的知、場知識等の全てのふるまいや相互作用を知の生成に生かす 基礎的思考と方法論を理解する 多様なメンバで対話的、協調的に学ぶ 使う時に、ワークショップProject Based Learningを用いる 実践する時に、実践的Real Proj

思考力を高めるステップアアップコーチ5

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 思考力を高めるステップアアップコーチ5       昨今、GPT-2での小説執筆にトライしたり、ChatGPTでアイディエーションした結果を     Midjourney  でお絵描きしたり、世間が賑やかになってきました。     web掲載の記事 「 AIが急速に進化・普及する時代に、人材が拡張すべきスキルは何か」  (2023年2月24日 shiRUto)によれば、これからは進化するAIを使いこなして     Creativityを発揮すべき時代にあると主張しています。  これからの人間をとりまく環境は、AIなどによる情報空間化が加速していくなかで、  人間はAIを使いこなすスキルが求められているようです。  以前、私は日本元気塾セミナー 「例外にこそ本質がある!」~研究者が考える未来の  クリエイティブ~石川善樹(医学博士)×米倉誠一郎(日本元気塾塾長) 2015年10月  07日を受講した時に、石川善樹氏はスラム街であっても元気な子供達がいる事例を  取り上げて、「規則性を逸脱した例外の中にこそinnovationの種が存在する」と主張  していました。そのような研究テーマであっても、石川氏は8つのCreative Process  の中で、AIが得意な領域について指摘していました。(筆者が黄色に着色)      2つの知見には共通点が多いです。    どうしたら多忙な生活の中においてこれらの一連のスキルを獲得し、AIに情報収集     やアイデアの組み合わせを指示することができるようになるのでしょうか?     1.問いの発見     2.知識の獲得      3.関連情報の収集     4.熟慮     5.アイデア      6.アイデアの組み合わせ     7.ベストアイデア     8.アイデアの実現化・検証              私は、システムデザイン、システムズエンジニアリングという設計手法を     学んでいますが、根幹は「思考力を高める」、「考える力を高める」、    「創造的な問題解決力を高める」ということがベースになっています。    そして、これらの獲得こそが、AI時代の社会課題に貢献すると考えます。        ボランティ勉強会、ワークショップ研修など開催しています。    ご関心がある方は、 ホームページ(問い合わせ) 、